総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、空き家数は900万2,000戸で過去最多となり、住宅総数に占める空き家の割合(空き家率)も13.8%と過去最高を更新している(図表1)。空き家を建て方別にみると、一戸建てが352万3,000戸(空き家総数に占める割合39.1%)、共同住宅が502万9,000戸(同55.9%)などとなっている。
空き家は大きく4つの種類に分類されます。このうち、『賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家』は385万6,000戸で、住宅総数に占める割合は5.9%です。建て方別に空き家の種類をみると、一戸建ては「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家』が最も多く80.9%(285万1,000戸)、共同住宅では「賃貸用の空き家』が最も多く、78.5%(394万7,000戸)となっています。では、空き家が増加する背景には何があるのか。社会要因としては、世帯数の増加を上回る住宅の新規供給が行われていることがあります。日本の住宅市場では供給過剰な状況が続いており、空き家増加の一因となっているのです。
制度要因としては、住宅用地に該当する土地の固定資産税の評価額を減額する特例の存在がある。この特例が空き家にも適用されていたため、空き家を解体せずに放置することにつながっていた。なお、2023年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」により、倒壊の危険性が高いなど周囲に著しく悪影響を及ぼす「特定空家」や、適切に管理が行われていない特定空家予備軍の「管理不全空家」については、市区町村が所有者に助言・指導などを行い、従わずに勧告を受けた場合には税負担の軽減措置を受けられなくなっている。
経済要因としては、家屋などの解体などにかかる費用負担の問題があります。そのほかにも、近隣の住民が地域に見知らぬ人が住むことを戒するのではという懸念
や、お盆に帰省できる場所を残したい、空き家バンクの利用などの手続きが面倒といった理由もあるかもしれません。
今後、空き家対策が適切に運用され、空き家数が減少に向かうことを期待したいです。
また、都市部を中心に共同住宅の空き家が増えているものの、アパートやマンションなどの共同住宅は、その建物全体が空室で老朽化が進んでいない限り、『空家特措法』の対象外になっているという問題もあります。
もちろん、空き家対策を担う地方自治体も手をこまねいているわけではないく、空き家バンクの設置や、納税通知書に空き家バンクの紹介を同封して登録を促すなどの取り組みを行うところもあります。
自治体にはマンパワー不足や、組織としての空き家対策の知見やノウハウの不足、予算不足などの問題を抱えているところが多いように思います。